Phil meets 石井逸郎

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2度目の緊急事態宣言が発令され、改めて新型コロナウイルスの恐ろしさを感じている方も多いのではないだろうか。東京発のモデルエージェンシー「BARK in STYLe(バークインスタイル)」所属のPhil(フィル)は、仕事と私生活を見つめ直し、新たな趣味を手に入れたようだ。スニーカーや時計、車など、多趣味な彼が今ハマっているものとは何か。それは意外にも“食にまつわるアイテム”であった。

– Philさんが最近気になるものは何ですか?
昔から興味はあったのですが、この状況下になってから、より一層“食”へのこだわりは強くなりました。世界各地の料理もそうですが、特にその料理を飾るアイテムに目が行くように。僕は家での食事でも、Hermès(エルメス)やRoyal Copenhagen(ロイヤルコペンハーゲン)、Baccarat(バカラ)、Christofle(クリストフ)といった食器やカトラリーを使ってて、何気ない食事も“おしゃれな食器”を用いることでもっと美味しく感じることに気付かされました。なかでも、Royal Copenhagenで日本人初となる絵付師として経験を積んだ石井逸郎氏の作品は、芸術そのものだと思いますね。

– 石井逸郎氏との出会いは?
僕の両親が「青山すし泉」で偶然石井先生の隣になり、Royal Copenhagenのお話をしていたところ、陶磁器に上絵付けする先生だとわかり、親交が始まったようです。親子ともどもお世話になっていて、かれこれ7年来のお付き合いですね。両親は仲の良い友人ですが、僕はどちらかというと石井先生の1番のファンです。

– こちらの作品は?
これは実際に石井先生に描いていただいた作品の一部ですね。右のお皿からダリア・クラゲ・タツノオトシゴ、サクソンフラワー・クラゲ、恐竜・サメ(魚)・クラゲ。今回、実際にすぐそばで描いている様子を見させてもらったのですが、機械には決して真似できない筆使いで先生が黙々と描いている姿を見れたことに感動しましたね。

– 石井先生の作品の特徴は?
日本人特有のタッチの繊細さもありつつ、Royal Copenhagen(海外)で学んだ美的感覚も持ち合わせているので、どの作品の絵にも奥行きを感じますね。これは先生からお聞きした話ですが、上絵付けの練習をする際にもいわゆる高級なお皿で上絵付けするようなんです。僕らの感覚では「100円のお皿でも変わらないんじゃないかな?」と思っていたのですが、集中力や絵の精度も変わってくるようで、それだけの精神力と技術が伴ってないとできない仕事だと思うので、そういった点も尊敬しています。

取材当日、石井先生の作品でアフタヌーンティーをいただいたPhilは、「この高級そうな食器を落としてしまったらどうしよう…」と、紅茶の味もしないくらいティーカップを持つ手が震えたという。制限の多い今、今までの生活を見つめ直し、おうち時間を満喫する逸品を手に入れてみると生活が華やかになるのかもしれない。

また、石井逸郎氏が手がけた食器は「リストランテ濱崎」や「青山すし泉」等でお食事と一緒に堪能できますので、コロナ禍の息抜きにでも足を運んでみてはいかがだろうか。

・石井逸郎のプロフィール
1952年 神奈川県横浜市に生まれる
1972年 デンマークに渡り、美術学校へ通う
1978年 ロイヤルコペンハーゲンに入社
     日本人で初めて上絵付け部門で「フローラ・ダニカ」シリーズの制作を手掛け、その後10年間務める
1988年 コペンハーゲン郊外にアトリエを開設し、現在のライフスタイルにあった作品制作を始める
1990年 独自の絵付けスタイルを伝えるべく、ヨーロピアン上絵付け教室「SCAN・TIPS(スカンティップス)」を設立。デンマークと日本を往復しながら生徒の育成に努める
1995年〜名古屋女子短期大学のオープンカレッジの講師も務めながら、今までにない色合いと雰囲気を持った食器の制作に挑戦し、器と料理の新たな食文化の提案を行なっている
2009年 和光にて第1回個展開催
2011年 食を楽しみ、異業種との交流を深めるため、新たな会社「CRESTIPS(クレスティップス)」を設立
2012年 和光にて第2回個展開催

Photo: Ayase