Phil meets askate

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Kanye West(カニエ・ウェスト)とadidas(アディダス)によるYEEZY BOOST、そしてOff-White(オフホワイト)を率いる稀代の風雲児 Virgil Abloh(ヴァージル・アブロー)とNike(ナイキ)の“The Ten”シリーズを皮切りに、コラボスニーカー旋風が到来したファッションシーン。今やその勢いも失われつつあるが、転売ヤーやYouTuberのおかげでセカンダリーマーケットでは、定価の数十倍もの価格でやり取りされるスニーカーも世界には存在する。そこで今回は、Phil(フィル)が今気になる新進気鋭のスニーカーショップ『askate』の奥山恭を招き、彼のビジネスプランや今後のスニーカー事情を深堀りしていく。

両者「はじめまして」の挨拶から始まったこの取材だが、話をするにつれ共通の知り合いが多いことや面識があることが明らかに。若くしてスニーカーショップの経営者となり、最近はもっぱら趣味に没頭する奥山。彼は一体どういう経歴で、今のスニーカーカルチャーをどう思うのか、Philが思ったことを率直に訊いてみた。

Phil – 以下、P)奥山くんがスニーカーを好きになったきっかけは?
Okuyama – 以下、O)高校3年まで野球一本で生きてきて、辞めた瞬間にその熱量がすべてスニーカー/ストリートに向いたって感じです。今でも記憶に残っている当時買ったスニーカーは、Air Jordan 5の“Fire Red”(スラムダンクの流川が履いてるモデル)ですね。大学4年間で計150足ぐらい手元に残ったんですが、実際はその3倍くらい買ってました。学生時代は毎日のようにNikeさんにお世話になってました。『Nike.com』のシステムはすごくて、1ヶ月間返品無料なんですよ。なのでAir Max系は全部購入して、試し履きして、合わなかったら返品して、ってのを繰り返しやってました。返品履歴を見るとえげつない金額になってましたが、こればかりはNikeのオフィシャルルールなのでブラックリストには載ってないみたいです(笑)。

P)『askate』を開店するまでの流れは?
O)家族がアウトドア一家なので、学生時代は夏はリバーガイド/キャンプ、冬はスノボーのインストラクターをしてましたね。その繋がりもあり、卒業後はアウトドアブランドに就職しました。昔から自分でお店を開きたいと思ってたのでそのブランドは1年で辞めて、その後、個人経営のサーフショップで1年、スニーカーショップのUNDEFEATED(アンディフィーテッド)で1年やって、今に至るって感じです。

P)お店をやるにあたって、今までの経歴がためになったことはある?
O)僕にとってサラリーマン人生はたった3年弱しかなかったので、とにかく濃い3年間でしたね。中でも最後の1年(UNDEFEATED時代)は、スニーカーショップとは言えどもちゃんとした企業だったので、上下関係や礼儀、アパレルの販売知識はしっかりと学べたと思います。今ではそのおかげもあってInstagramでライブ配信をしたり、ネット上でゲリラリリースをしているのですが、その頃の経験から発想や勢いが身についたと思ってます。

P)コンセプトってあるの?
O)まあ、僕の部屋ですかね。このお店自体のコンセプトは特になくて、自分が好きな横乗り系のアイテムだけをまとめてるんです。今はスニーカーが好きですが、僕の中でブームが過ぎ去ったら釣り具店になる可能性もありますし。僕の趣味をいろんな人に共有したいという一心でやってるので、ライフスタイルをすべてさらけ出す気持ちで運営してます。新型コロナウイルス禍でも本来なら頑張って週5~6で仕事をするのが普通ですが、僕の場合は趣味で手一杯なので3月末から7月31日までは休業予定です。8月に入っても状況次第では、1週間店開けて、2週間閉じるなんてこともありえますね。

P)他店との違いを挙げるとすると?
O)個人商店みたいなもんなんで、他店よりもスニーカーひとつとっても語れることは多いと思います。もちろん品数もそうですが、あえてラッピングせず、箱も見せているので、そこんとこは信用していただけると嬉しいですね。たまに「これって鑑定書ついてるの?」とか聞かれるんですが、「僕が信頼したバイヤー、そして僕自身がしっかりと確認しているので、そこを疑うのであれば購入していただかなくても結構です」とお伝えしています。正直な話、他店も鑑定士がいると言いながらも、汚れや相場をチェックするアルバイトを鑑定士と呼んでいたりするので…。あとは、うちの代名詞となりつつあるDunkの品揃えですかね。Air Jordan 1も人気ではあるんですが、長い目で見るとDunkの方が持ちはいいですし、流行り廃りなく着こなせると思います。

P)昨今のコラボについてどう思う?
O)Supremeを一つ例にあげると、消費者に普及しすぎてリミテッド感は低くなりましたよね。昔まではそのジャンルが好きな人だけが身に着けてましたが、今ではSupの歴史も知らない人でも買えるようになっちゃったので、コラボに対して消費者の目が肥えた気がします。うちでもあらゆるコラボスニーカーを扱ってますが、sacai LD Waffle、UNDERCOVER Daybreak、Off-White Street Runnerのクオリティには感動しましたね。僕もスニーカーヘッズなのでこれらの原型を知ってますが、「昔ながらのいなたいデザインを発想の転換だけで、よくここまでアップデートしたな」って思いますもん。ここ最近はスウッシュを反転するとか、Nikeとしても考えが柔軟になってきたんじゃないかとも思いますし、今後はもっとポテンシャルの高いコラボスニーカーが生まれてくるのではないかと期待してます。

P)オリジナルグッズはどうやって始めたの?
O)最初はお店のオープン記念として、プレゼント用のTシャツとフーディを作ったのがきっかけです。ですが、思ったよりもお客様からの問合せが多くて、2ヶ月後にちゃんとした形でお客さんに販売しました。でもその再販時にも100名以上並びがでて、購入できない方も出ちゃいました。その後も「阪急メンズ」でのポップアップなど、色々とご縁があり、今月末からは親友が働く「HLNA」との競合で新作を多数作りました。

P)次に狙うスニーカーは?
O)まあ話題性だけで言うと、Air Diorですかね。HiとLowあって定価は24、21万円(税込)でしたが、プレ値は現時点で150万円前後にものぼるので、『askate』としても各種数足ずつは仕入れる予定です。なんと言っても全世界8,500足限定なので、僕はお金があったら日本に卸されるこのコラボを全部買い占めますね。1年寝かしただけでも相当なプレ値がつきますし、僕の経験上、これだけのビッグネームコラボは5年もしたら途轍もない額に到達しますよ。なので正直、プレ値でも買っておいて損はないかと。

askate
住所:東京都渋谷区神宮前3-31-20 野津ビル4F
Web:https://askate-shop.com

Photo: Ayase