Phil meets 斉藤和巳

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今年2月、「BARK in STYLe(バークインスタイル)」内にスポーツディヴィジョン「SAT」が誕生し、Philが昔から対面を熱望していた元プロ野球選手の斉藤和巳が本連載企画に登場。斉藤和巳が思う今のプロ野球、そしてセカンドキャリア、さらには趣味までPhilが聞きたいことを掘り下げていく。

Phil(以下、P):今日は宜しくお願いします。憧れのアスリートなんで、緊張しますね。いきなり知らない人に色々話しにくいと思うので、ざっと自己紹介しますね。うわーなんか、オーディションみたいで恥ずかしいね(笑)。僕はかれこれ25年くらいモデル業をやってまして、以前も(Who Is Magazineで)話したんですが僕の親戚もスポーツ家系なんですよ。叔父がプロゴルファーで、従兄弟がタレント、今は経営者としてもちょっと有名になってきましたが。
斉藤和巳(以下、斉):ああそうなんや、すっごいネタだね。従兄弟さんはボディーコンテストにも出てたよね?
P:そうです、そうです、その人です。そういうネタもありつつ、僕個人としてはモデルの他に不動産経営とかもやってるんですよ。
斉:うわー、俺にはそんなネタないわ〜。モデル歴25年ってすごいし、不動産経営って!
P:モデルだけじゃ食べていけない時代なんで…。
斉:今年いくつなの?
P:僕は40です。和巳さんは今年で42〜3とかですよね?
斉:そうそう。今年で43の代やね。
P:同世代ですね。そんなこともあって、僕は元々サッカーやってたんですが、野球の事はまるっきし分からなくて、一から色々お話していただけるとありがたいです。
斉:もちろん。俺は基本的にNGなしなんで、色々ツッコんでもらっていいですよ(笑)。
P:いや〜無理ですよ、、さすがにツッコめないっす(笑)。

P:あと、僕はファッションとか、車とか、時計とかも趣味の一部ですが、すべて投資だと思ってやってますね。
斉:そうなんや、そのマインドすごいね。ちなみに投資とは?
P:この連載企画でもやってもらってるんですが、僕は希少性の高いモノを買うことが多くて、数年後に手放して2倍3倍、すごいときは数十倍になるアイテムもあったり。
斉:すごいね…。ファッションは好きなんやけど知識がないからさ、そんな話があるんなら先に(売れるアイテム)教えて欲しいわ〜。
P:まぁ僕自身、モデル一本で生きてけると思ってなかったので、手広くやらせてもらってますね。自分で言うのもアレなんですが10代から20代後半までは結構稼いでて、その時に出合った方々に今の生き方を教えてもらった感じです。最近だとDior(ディオール)とNike(ナイキ)のAir Jordanコラボが発売したんですが、それはプレミアム価格が定価の10倍くらいまで釣り上がってたんですよ。
斉:あのコラボしたやつね。それって定価はいくらなの?
P:定価が20万前半とかですかね?
斉:いや〜、その時点で高いわ〜。
P:でも、それが200万とかで取引されてると思うとゾッとしません?昔で言うパチプロですよね。
斉:運と知識が物を言うってことか、確かにね。それだけでいい飯食えるし、車買えちゃうもんね。
P:そんなんを趣味でやったりしてて、、、
斉:初めて知ったし、俺の脳にはそんな考えなかったわ〜、もしかしてアスリートより稼いでるんちゃう(笑)?
P:そんなことないですよ、和巳さんには敵いません。
斉:ほんまかいな、、てかもうさぁこれ取れ高十分ちゃう(笑)? 俺はもう話すことないよ、こんなに考えたことないし、Philくんに白旗です(笑)。
P:まだまだ触りの部分ですよ〜(笑)。職業のジャンルが違うとあんまりこういった話もしないですよね?
斉:全くやね。俺の周りにこんな考えながら生きてる人おらんもん。

P:先ほどのお話にもありましたが、ファッションお好きなんですよね?
斉:ファッションは個人的に好きなんだけど、実際に僕ら(アスリート)が着れる服って日本にないんだよね。店頭にかけてもある服はもちろん袖も通らないし、ウエストもだめ。
P:想像していたよりも大きくてビックリしました。
斉:みんなは「身長高くて、スタイルも良くて…」って言うけど、服に関しては苦労しかないんだよね。でもって、野球選手=ダサいって印象があるけど、着れる服に制限があるからお洒落を十二分に楽しめないってのはあるかも。
P:そう言われてみるとそうですね。あまり大きい声では言えないですが、確かに野球選手よりもサッカー選手の方がお洒落なイメージはありますもん。だけど、遊んでるのは野球選手みたいな(笑)。
斉:いやいや、サッカー選手の方が遊んでるからね、多分。俺らは体格もデカいし目立つ、遊びも豪快なだけで、彼ら(サッカー選手)はモテるだろうからモデルの女の子呼んで、お酒飲んで、どんちゃん騒ぎみたいなイメージがあるね。
P:僕の周りにもサッカー選手とかいますけど、みんなうまいことバレないようにやってるかもですね(笑)。
斉:そうよ、体力有り余ってるんだから。遊んでるさ。
P:野球選手はどんな遊び方をしてるんですか(笑)?
斉:鋭いのきたね〜。遊び方は普通に女の子がいる場所に訪ねるだけだよ、現地にね(笑)。そういう楽しみのために、仕事も頑張るし、身なりにも気をつけるよね。
P:その話をもっと深堀りしたくなりますね(笑)。
斉:それはまた今度で(笑)。ちょっと話が右往左往しちゃったけど、そういったアスリートや引退されたOB選手に提案したいファッションアパレルを立ち上げることになったのよ。アパレル関係者やマーケターなど色んなご縁があってその皆んなと想いを一つにして誕生した訳。ブランドネームはDOUBLESIKS(ダブルシックス)。
P:そうなんですか? ブランド名にはどんな意味があるんですか?
斉:ブランド名は、現役時代にリハビリしていたアメリカのアリゾナの地を通っていたROUTE66が由来。商品は今詰めてる最中なんだけど、インポートの上質な生地はもちろん日本の素材も使って、縫製はすべて生まれ育った日本製にこだわることにしててね。デザインに関しては全く知識がないからプロたちと一緒にやってるのだけど、会議中は全く知らない言葉が飛び交ったりして、俺の頭の上にはずっとハテナマークが浮かんじゃってるよね(笑)。
P:ファッションって難しいですよね。僕は消費者なのでブランド側の考えは分かりませんが、マーケティング知識とかデザインにも流行り廃りがありますし。あと今フィットネスブームもきてるので、スポーツコンセプトのブランドはかなり良いですね。ちなみに、今着ている服はどこで購入されたんですか?
斉:DOUBLESIKSのターゲットは、アスリートやスポーツが好きだったり支援されているような経営者がベースになるかな。これは現役時代からお世話になってる僕は知り合いの人が選んでくれたモノだね。
P:やっぱり野球選手だとお付きのスタイリストさんが揃えてくれて、それを全部購入って感じですか?
斉:(専属スタイリストが)いる選手もいるんだろうけど、俺の場合はその人にワンシーズンに数回洋服を集めてもらって、そこから選んだモノを着てたね。テレビとかメディアに出るときは、その人に「和巳さん、じゃああの服とあの服を着て〜、靴はそれを履いて〜」みたいに指示をもらったり。
P:斬新だし、その方すごい和巳さんのクローゼット把握されてますね(笑)。
斉:遠隔スタイリングだよね。隠すのもアレだから言うと、その人は元々岩田屋っていう百貨店の方で、センスもいいし、色々とよくしてもらってたんだよね。今はもう辞めちゃったんだけど、昔は家に来てもらってクローゼットの中身を把握してもらうために全部写真に撮ってもらって、「あの右下のケースに入ったパンツと〜」みたいに指示してもらって、それをそっくりそのまま着るみたいな。
P:和巳さんの好みや体格を考慮して組めるって、もうそれは立派なスタイリストじゃないですか。
斉:確かにそうだよね。俺はあんまり派手な格好が好きじゃないし、高いものが良いとは思わない。一回、Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)のキャリーケースを遠征に持っていった時があるんだけど、やっぱりハイブランド品が選手たちの定番化だったから何も突っ込まれないんだよね。でも、次の遠征時に無印の1万くらいのキャリーで行ったら、みんなから「和巳さん、それどこのですか?めっちゃ高そうですね」って言われて、「いや、無印の1万くらいのやつやから」って言ったら「和巳さんってそういうのも持つんだ」って驚かれましたもん。これはネタみたいですが、僕個人としては、ここからより一層考えは変わったかもしれないですね。
P:結構ありますよね。他人と被りたくないし、安いものでも持つ人によって、高価なものに見えるみたいな。
斉:それ!それさえクリアしたら無敵やもん。車とかもそうだけど、俺は天邪鬼なんだよね。「アイツがあの車だから違う車種にしよう」とか、みんな持ってるブランドもの、流行りものにも興味ないし。
P:今はどんな車が好きなんですか?現役時代と今では好み変わりました?
斉:変わったな〜、ほんとその通り。現役ん時はスピードが出るようなスポーツカーに憧れて乗ってたけど、結局今はPorsche(ポルシェ)のカイエンに落ちついたね。形とかどうのこうのじゃなくて、ある程度スピードが出る車が好き。
P:一通り色々な車に乗ってみて、バランスの取れたPorsheに落ち着いたって感じですか?
斉:そうそうそう。歴代の愛車は30台まではいかないけど、結構乗ったね。今のカイエンは3代目だし、Mercedes-Benz(メルセデスメンツ)のゲレンデとか、Porcheの911 カレラ、パナメーラ、Maserati(マセラッティ)のグランツー、グランツーSとか。
P:グランツは音から何から最高ですよね。
斉:あの音は歴代最高だね。エンジンつける時にはドア開けて、外からあの音を聞いてからドア閉めて、身体で振動を噛み締めるってのが日課だったね。
P:マニアックだけど、たまらないっすよね(笑)。仲良い方から「Phil、あの車買ったんだね~。ウチの旦那も今それ乗ってるよ!」って連絡がたまに来るんですが、その瞬間に一気にその車に対しての愛が冷めるというか。だから僕は日本にまだあんまり入ってきてない車とかを狙うようにしてますね。
斉:いや~わかるわ~。グランツーは内装のステッチとかまで全部カスタムできて、イタリアにデータ送って、半年かかって完成みたいな。待つ時間でさえ愛おしいんだよね。
P:ん〜、アレはたまんないっす。

P:時計へのこだわりはありますか? 活躍した時の自分へのご褒美とか。
斉:今日着けてる時計は、もう買って20年くらい経つかな。時計は好きなんだけど、ファッションと同様に詳しくはなくて。でも子供の頃からRolex(ロレックス)には憧れがあって、プロ入って頑張りがカタチとして見えた時にこのピンクゴールドフェイスのこれを買ったんだよね。所有数自体は4~5つぐらいだけど、すべてに思い出があるね。
P:残りの3~4本はどういった思い出があるんですか?
斉:高級な時計は1~2本だけで、その他は高校卒業の時に仲間がなけなしのお金で買ってくれたagnes b.(アニエスべー)の時計と、今は亡きおじいちゃんと交換したノーブランドの時計だね。当時はFrank Muller(フランク・ミューラー)の時計を着けてて、入院先のおじいちゃんと交換したんだよね。道で拾ったノーブランドの時計を「これ、全自動なんだよ」って自慢してくるおじいちゃんも可愛いなって。
P:確かに思い出が詰まってるものは、いいですよね。僕もおじいちゃんからもらいましたけど、やっぱり大金叩いて買う時計よりも大事だし、いくらお金をかけても使える状態を保ちたいと思いますもん。
斉:高校時代の仲間、おじいちゃんにも悪いんだけど、やっぱり安い時計だから、よく時間もズレるし、止まっちゃうんだけど、絶対に捨てられないし、Rolexが無くなるよりもこの2つが無くなる方が辛い。

P:だいぶ遅れましたが、プロの世界に身を置いてた当時は、セカンドキャリアをどう考えてましたか?
斉:やっぱり毎日が勝負だったので、将来のことなんて考えてなかったね。今となっては現役の頃の刺激は味わえないなと思っちゃうし、“どうやって楽にお金を稼ぐか”を毎日考えてますよ(笑)。でも正直、楽して稼ぐなんて無理だと思ってるからYouTubeとか、趣味のゴルフやったり、余裕持ちながら自分のやりたいことをやるようにしてる。
P:僕もそうですよ。楽して稼げたらこれ以上ないですよね。今後のビジョンはありますか? それこそ、また野球やりたいとか。
斉:よく聞かれるけど、欲もそんなないし、趣味と仕事が並行して何かやれればいいかなって感じ。今はわからないことを突き詰めて、究極に挑んでる感じ。それこそ野球に携わる形はいくつもあるけど、指導や教育はその人の人生に関わることになるから慎重に判断しようと思ってる。自分もいつ死ぬかわからないし、どういう縁があるかもわからない。だからその時になって、タイミングと考えがマッチすればまた野球界に携わりたいね。野球への関わり合いってところだけで言うと、今も解説とか子供たちと野球教室とかあるし、それ以上はまだ未知数かな。
P:指導することは好きですか?
斉:好きではあるんだけど、やっぱり自分は経験不足なのかもなってたまに思うね。「知識も方向性も真っ新な子たちに果たして俺のスキルを授けていいのか?」ってことも思うけど、やっぱり彼らが成長した時に「あの時、斉藤和巳って人に教えてもらって良かったな」って思われるように、今は全力で子供たちの力になれればなって思って教室もやってるよ。
P:憧れの選手に教えてもらう、そして野球に取り組む姿勢を見て、少年少女たちは学んでいくんじゃないですか?
斉:それも多少はある思う。良くも悪くもずっと野球しかやってこなかったから、野球の専門知識はある。だけど、その人に合ったやり方が必要になる場面も当然あるんだよね。だから今は野球の本質を教えてあげたいと思ってやってるね。俺も全力で楽しむようにしてるし、俺自身も野球の本質をまた新しい目線で学べてる。12月にも沖縄で野球教室も決まってるし、このコロナ禍でどう楽しむかをしっかり教えていきたいね。
P:スポーツは幅広いですが、どれも楽しいし、その繋がりで仲間の輪も広がったりしますしね。僕自身、何かに打ち込むってことは大切だったなと大人になった今でも思いますもん。
斉:そうなんだよね。そこが一番大切なポイントだと思う。でもって、今年の11月末に初著書になる書籍を三栄から出版させてもらうことになって。ここ最近は、新型コロナウィルスで経済も疲弊したり、その中で心身ともに疲れちゃっている人も多い。だから、この一冊を通して1人でも多くの方が前向きな気持ちになれて、一歩踏み出せるきっかけになればと願ってね。
P:メンタルやマインドを見つめ直す書籍になってるんですね。一流アスリートの経験から生み出される言葉には納得がいきますし、僕も今はなんとか踏ん張ってプラスに変えていく力を身に付けようと思ってます。

Photo: Ayase